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| MAGNEPANと私 | |
私が米国のMAGNEPAN社のスピーカー・システムに出会ったのは、1978年のことです。場所は、東京新橋のショー・ルームでした。2本のスピーカーの真ん中後方(奥)に、まるで幻(illusion)のように定位する音場再現。楽器の一つ一つをシームレスに紡ぐ自然感。その体験は、まさに”You are there”(あなたはそこにいる)を実感させるものでした。 それはまた、いままで一度も体験したことのない世界でした。と同時に、MAGNEPANの潜在能力の凄さに驚き、虜になってしまいました。 それから約20年、MAGNEPAN自体のモディファイを手始めとして、その潜在能力を100パーセント引き出すドライバー・アンプの発掘に、情熱を捧げてきました。 手順としては、まず、内外の著名製品の中からベスト・マッチングの得られるアンプと音楽ソースを探し、時間と労力と私財を投じて、連日チェックに専念しました。 ここから貴重なデーターが得られたのも事実です。 MAGNEPANのモディファイでは、予想以上の成果が得られ、異次元の変貌を遂げることも確認しました。しかし、肝心のドライバー・アンプに関しては、失望の連続でした。 普通のトランジスタ・アンプで楽々とドライブできるスピーカーもあれば、並のアンプを受け付けない、ガンコなヘソまがりもあります。MAGNEPANは大飯ぐらいで、しかも一筋縄ではいかない、厄介なスピーカーです。 だから、それに惚れ込んだのが運のつきだともいえます。もっと”LIVE”感が加われば、もっと迫真のエネルギーが放射されれば・・・その素質が感じられるだけに、ハマるわけです。 |
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| ■OTLアンプとのたたかい | |
| 市販のアンプに見切りをつけて、自力でアンプの開発を思い立ったのは、1994年の春でした。そして秋には第1号機を仕上げることができました。 MAGNEPANと市販のアンプの組み合わせを模索するなかで、評判のよいトランジスタアンプをつぎつぎと視聴しましたが、私の求めているLIVE感とはほど遠く、スピーカーの保護ヒューズが焼き切れるほどパワーを入れても満足できない。 一般的な真空管アンプでもある程度の迫真感は得られますが、自然感に欠け、全帯域のエネルギー・バランスの乱れが耳につきました。MAGNEPANの限界だろうか。そんな懐疑心に見舞われていたある日、MAGNEPANを真空管のOTLアンプでドライブしている音を聴き、直感的に私の求めている音に近いと思いました。 回路設計がいくらよく出来ていても、OPTに依存しているアンプでは、スピーカーと切り離されてしまう(交流的にはつながっているが)。だから、最終的にはOPTの特性に音質が左右されてしまいます。 この結論が、OTL方式に踏み切るキッカケでしたが、幸い、市場にはロシアの軍用管6c33cが出回っていました。 この6c33cは、ロシアの戦闘機ミグが北海道に飛来したときに話題になりましたが、80オームという圧倒的な低内部抵抗は、まさにOTLアンプのために生まれた真空管という感じです。それと強烈なヒーター電力(6.3V×6.6A=42W)から得られるエミッション(熱電子)は、良質な真空管OTLアンプには不可欠のものです。 さらに注目すべきは、その強固な造り・・・カーボングラファイトで形成された1mm以上もあるプレートをリブで補強した構造にも魅せられました。 ペナペナの素材でつくられた、過去の直熱管や多極管のプレートでは、固有の電極鳴き(カラーレーションなど)がつきものです。 |
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| ■MAGNEPANのために | |
| 真空管式OTLアンプの名作としては、フッターマン(米)とラックス(MQ36)が知られていますが、その上を目指すという観点から、基本的にはオーソドックスでシンプルな回路を選び、過去のOTLアンプの試作と試聴を繰返した結果、ドライブ回路の重要性に気付きました。 いろいろな回路方式を検証した末に到達したのが、Inshallarに採用した回路です。 初段に定評のあるSRPPを配し、カレントミラーの位相反転段を介して、出力段のSEPPへは、カップリング・コンデンサーを使わずダイレクトに信号を送り込む。 要するに、ダイレクトにグリッドを振る直結回路です。 電源部にはBSW方式の電源トランスを採用し、抜群のレギュレーションで、最適のエネルギーを各真空管に供給しています。出力は、全帯域にわたってチャンネル当たり100W(16Ω負荷時)をクリアしています。 実績のある基本サーキットをベースに、産業用に開発された、高耐久性と超高安定性を誇るパーツを、丹念に試聴を繰返しながら厳選して、音質の成果に結びつけています。 シャーシには、非磁性体アルミ合金のインゴット切削加工を採用し、重量級の無共振構造にすると同時に、デザイン的にも飽きのこない重厚な味わいを表現しています。 なお、ローコスト版(Inshallar-b)には鉄板シャーシを採用しています。 配線材には全機種とも、無酸銅に銀蒸着を施した(銀メッキではない)素線のテフロン被覆線を使用しています。 いずれもコストよりも成果を優先したぜいたくな選択です。 出力球は、十分な、エージングを行った後、当社が独自に開発した、専用のバブル・チェッカーで厳選し、ペア(8本)を選別して使っています。 各真空管の動作は、80パーセント以内にとどめ、長期間のハイパワーとハイクオリティーを実現しています。 各アンプには、電源部のヒューズ以外は、保護回路を一切使用していません。 |
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| ■ドライバー・アンプの完成を目ざして | |
| パワー・アンプを完成して、その成果を喜んだのも束の間、こんどはコントロール・アンプが気になりました。 しかし、ここでもコントロール・アンプづくりで獲得したノウハウが役立っています。設計ポリシーの基本は、例によってシンプル・イズ・ベストを貫き、信号系路の素子をわずか4個に絞っています。 左右独立の定インピーダンス型アッテネータを採用して、バランス・コントロールも省いてます。 電源部には、真空管の動作点を明確にするために、無帰還(ノンNF)の定電圧電源回路を採用しています。 信号系路のシンプル化に反し、真空管を豊富(5本)に使っていますが、これは音声信号が抵抗器(R)を通過するときに発生する、音質的に有害なノイズを追放するためで、真空管の内部抵抗を利用しているわけです。いわゆる「真空管抵抗」の応用です。 基本回路はそのままに、最小限のパーツで目的のLIVE感を再現するという姿勢ですが、その実現には5年の歳月を費しました。 シャーシ構造は、例によって、アルミ合金インゴット切削加工による、無共振の一体型。基板には、天然素材に近いベークライトを使い、素子間の結合は手配線で行っています。 配線材も試聴によって厳選したものを使用しています。 イコラザイザーアンプは独立型ですが、ライン・アンプとの組み合わせ(電源はライン・アンプから供給)になります。 パワー・アンプがMAGNEPANのために開発されたように、イコライザー・アンプでは「IKEDA」の9シリーズに的を絞っています。開発に当たっては、池田勇氏(IKEDA SOUND LAB's)の協力を仰ぎました。 |
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| ■ミュージック・ラバーの皆さまへ | |
| オーディオ製品・・・とくにコンポーネント機器では、不特定多数を対象にした汎用タイプが主流になっていますが、頂点を目指す場合は、対象を絞ってチャレンジするのが近道です。 とくに、難度の高い強者は、中途半端は汎用機の手に応えません。 また、専用機も目的を達成したのちに汎用として利用すれば、さらに好結果が得られます。 一度その成果の確認に、当社の試聴室までディスクをご持参の上、お越しいただければ幸いです。 |
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